Friday, November 30, 2007

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの活動報告


 11月15〜16日にセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)の活動地のひとつ、ベトナムのイエンバイ省フンカイン村とルオンティン村を視察に行ってきました。この場所は、ハノイから180km程しか離れていないのですが、中国との国境の為に経済発展から取り残されており、道路が整備されておらず片道が車で5時間程かかりました。
 SCJはこの地域で、現在次の様な活動を行っています。
1. 栄養教育回復事業
2. 家庭菜園推進事業
3. 幼児教育
4. 妊婦の産前検診
5. 小規模貸付事業
 これらの活動を、2日間をかけて現地駐在員から説明をうけてきました。


1. 栄養教育回復事業
*目的:母親に、子供に必要な栄養を知ってもらうことにより、未熟児を減らす。

*方法:SCJのスタッフがその村のボランティア婦人(12人)に栄養学を教え、そのボランティア婦人が各々、村の母親達に教える。
・ボランティアの家で、毎月7日間、離乳食の勉強をする。実際に料理をして子供に食べさせる。
・各家庭で、教えてもらった離乳食を使う様に指導する。
・定期的に子供の体重を量り、十分な体重があるかをチェックする。


2. 家庭菜園推進事業
*目的:無農薬、有機栽培で十分な量の高品質の野菜を栽培することにより、子供や妊婦が十分な栄養を取れる様にする。

*方法:SCJのスタッフが特定の農家に栽培方法を教え、そこから村全体に普及させる。種苗(稲苗、野菜苗)、稚魚はSCJまたは政府が準備する。
 

3. 幼児教育
*目的:以前は、部落の集会所を幼稚園に使用していたが、十分な教材がなく、毎日集会所を使用できない等の問題もあった。入学前の幼児に基礎学習(主にベトナム語の習得)を学ばせ、修学を安定化させる。

*方法:昨年、日本企業が150万円をかけてモデル幼稚園を建設。
・1日の時間割を作り、毎日朝から夕方まで学び、遊べる環境を提供する。(勉強、遊び、昼食、昼寝、おやつ、etc.)
・SCJが中心となり、幼稚園の先生に、児童教育の仕方を教える。
・近辺の部落のモデル幼稚園として、他の幼稚園にも同様のプログラムを推進する。


4. 妊婦の産前検診
*目的:妊婦の体調管理方法を教え、未熟児を減らす。また、産後の母親の体調管理、新生児の育児方法を教える。

*方法:産婦人科の診療所を作り、十分な設備、薬と機材を揃える。
・定期的な産前検診。
・鉄分の薬を配給し、正しい食事指導をする。
・母子手帳を作成し、産前・産後を通して継続的なフォローをする。


5. 小規模貸付事業
*母子の生活改善、また、地域の生活レベル向上の為の、SCJのプログラム全ての核となるプログラム。

*目的:各家庭の収入を上げることにより、生活環境の改善、食事内容の改善を図り、児童、妊婦の栄養改善につなげる。
・各家庭の事業能力、管理能力を向上させ、貯蓄能力をつける。
・利息で各プログラムにかかる経費を賄える様にする。
・女性同盟の地位と管理能力を高める。

*方法:3歳以下の幼児を持つ母親・または妊婦で4〜5人のグループをつくり、共同で学習するとともに、共同で責任を負わせる。
・小額を貸し付け、1年で返済させる。年利は18%。返済は女性同盟にする。
・返済が滞った場合には、グループで責任を持つ。
・利息の半分は女性同盟で積み立て。後の半分は他のプログラムの経費に廻す。
・2回目、3回目と徐々に貸付額を増やせる。

*例:クアさんの場合(2003年より開始)
・1回目:50万ドン(約3500円)でヒナ鶏とオレンジの苗を購入。
・2回目:100万ドン(約7000円)で母豚、ヒナ鶏、茶畑の肥料を購入。
・3回目:100万ドン(約7000円)で母豚、ヒナ鶏、茶畑の肥料を購入。
・4回目:150万ドン(約10500円)で豚小屋を購入。
・収入:生まれた子豚を近所に売る。収穫したオレンジを近所に売る。鶏を育てて近所に売る。収穫した茶葉を茶工場に売る。
・毎月28日にグループのメンバーが集まり、借入の返済をし、勉強会や情報交換をしている。
・1年目は旦那が反対。しかし、結果が良かったので、2年目からは旦那も手伝ってくれている。
・今年の2月には600万ドンでバイクを購入。

今回、視察に行って考えさせられることが沢山ありました。
私が視察に行く前日、ハノイ市内で宿泊したホテルは一泊1万5千円でした。クアさんが、小規模貸付事業のプログラムを始める前の月収は2千円だったそうです。そして、現在は月収約5千円だそうです。クアさんの家には、木のテーブルが1つ、木の椅子が4つ、木製の大きなベッドが1つあるだけでした。新品のバイクがピカピカに磨いてありました。私たちと話し合いをしている間、クアさんはずっと笑顔でした。

弊社ホームページに、次の聖句が書かれています。

「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい。(1テサロニケ 5:16〜18)」

これって、結構難しいですよね。

ベトナムの写真はここで見れます。

Thursday, November 08, 2007

顧客満足


 このところ、IFEX、海外出張、セミナーと立て続けに行事が続いたので、なかなかブログを書くことが出来ませんでした。
 弊社は現在、資材の販売に力を入れています。この大きな目的は、「生産者の利益をいかに増やすか」です。毎年同じものを作っていて、どんどん利幅は減る。坪単価を上げないことには、今まで以上の利益を生むことは出来ない。もちろん、原価を下げる努力も必要ですが、全ての資材が値上がりしている中で、どんなに頑張っても限度があります。「坪単価を上げようと思って、栽培量を増やしたら、自分で自分の首を絞めた。」なんて話しも良く聞きます。
しかし、この様な話しを聞いていていつも思うのは、話しの中に“お客様”が出てこないのです。お店が必要としているもの、消費者が必要としているものをなぜ第一に考えないのでしょうか?
「ポインセチアを小さく作ると、きっとテーブルにおいてくれるよな。」といった話しも聞きますが、本当にそうなのでしょうか?そんな安易なものなのでしょうか?生産者の勝手な思い込みではないのでしょうか?また、もしもそのような具体的な引き合いがあるのだとすれば、それは明らかに、「注文があってこその生産」ではないのでしょうか?
「顧客満足」という言葉を良く耳にします。弊社の経営目標の中でも第一に「お客様の満足」と謳っています。すべてがお客様とその期待からはじまるという考え方のもとに、お客様に満足していただくために、何をどのように提供していくのかを考え、それを達成するための仕組みを作りあげることが顧客満足につながります。
生産者の中には「資材を使うのは店の仕事だ」と言う人がいます。たしかに、生産者が資材を使って出荷した場合に、それを使うお店は、必ずしも「差別化を図っている」店ではないかもしれません。でも、差別化を図っている店は、資材で差別化を図ろうとはしません。もっと本質的なところで差別化を図ります。しかし、その一方で、マーケットには、生産者側から資材を使った出荷をしてもらうと助かるというお店が沢山います。実際に、先日のIFEXでも、小売店からそのような声を沢山聞きました。福島へシクラメンの視察に行った時も、いろいろなバスケットや陶器鉢を使った生産者からの提案に、多くの市場が大変興味を示していました。
鉢物の基本は、いかに付加価値をつけるかにあります。勿論、第一条件は品質です。品質が一番の付加価値です。しかし、その高品質の鉢物に、さらに付加価値をつけることも出来ると思います。「資材を使うのは店の仕事だ」という考えは、お客様のことを全く考えない発言であり、自ら付加価値を放棄しているのと同じことです。何がお客様のためになり、そのために自分に何が出来るかを考え、実行することが「顧客満足」へ繋がり、しいては自身の利益を増やすことになるのではないでしょうか。